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藍城家の日常
第2章 出逢いのち初夜
離れていく宮殿を、誉はすがるような目で見つめた。


(炎鬼兄さんはどれほど心配するのだろう……)


三日ほどの出張だと聞いていたから、私のことを知るのはいつになるのか知れない。


『兄さん……』


夜光のものになるということは、あまり炎鬼に会えなくなるかもしれないということだ。


(炎鬼兄さん、急にこのようなことになってしまってごめんなさい。私は大丈夫です。だからどうか、心配しないでください……)


誉はきゅっと唇を結んで、いつまでも宮殿を見つめていた。




それきり誉の姿は、宮殿からぱたりと消えてしまった。


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