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藍城家の日常
第2章 出逢いのち初夜
ふわりと彼の匂いがする。
あの、柑橘系の心地よい香りだ。

誉は夜光を見上げた。


(綺麗な目……)


薄暗がりの中光る、血のような赤。
なんて妖艶で、美しいのだろうと、誉は見とれた。

ドク、ドクと、耳元まで鼓動が聞こえてくる。
誉はぎゅっと握った手を、自分の胸に置いた。


『っ』

「……今からお前を女にしてやる。忘れるな、お前に破瓜を教えるのは俺だ……」


熱い吐息と共に、また低くて甘い夜光の声が耳にかかる。


『は、い……』


溺れそうに、なる。
その妙に魅了する声色に酔いかけながら、誉はこくりと頷いた。


「痛みは俺の背中にすがってでも耐えろ。じきに良くなる」

『はい……』


おずおずと、しなやかで柔らかな腕が夜光の背中に回る。

男の背中は、こんなにも大きくて逞しいものだっただろうか……

炎鬼におんぶや抱っこをしてもらったことは何度もあったし、彼とはいつも一緒にお風呂にも入る。

だから誉は男の体をあまり意識したことがなかった。

でも、今は……


(厚くて固い、力強い背中……)

誉はそうぼんやりと感じた。


「……分かるか」


……くちゅ……

夜光は自分の猛々しく反りたった熱の塊を、彼女に見せないようにして誉の秘部にあてがった。

誉の体がびくりと震える。


『……!』


誉は目を見開き、何度も頷いた。
感覚だけだが、触れている部分が固くて、じんと熱いのだとわかる。


『分かります……熱くて、火傷、しそう……』

「今からこれが、お前の中に入るのに……か?」


夜光は誉と目を合わせたまま、ふっと笑う。
そして中には入れずに緩く腰を動かして、誉の入り口あたりと肉棒を擦り付けた。

痺れがまた回る。


『ぁっ……でも、火傷……しませんよね?』


流石にあるわけないと分かっていても、こんなにも熱いと、少し不安になってしまう。


「しねぇよ。火傷はしねぇが、気絶するかもな」

『きっ気絶!?』


誉は思わず声を上げて、目を見張った。


「嘘だ。今夜は手加減してやると言っただろうが……」


ちゅ……


『ん……』


口付けが、降ってくる。
瞼に、頬に、唇に……

触れるだけ。



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