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藍城家の日常
第3章 桃のシロップ漬け
「約束だから仕方ねぇ……」


ぐいっ

目を丸くする誉の体に無造作に巻き付かれた衣を、夜光は引っ張った。


『いっ、いやっ!褒美はいりません!結構ですから!』


ぐいっ

誉は必死になって衣にしがみついた。
こんな明るい時間にするなんて考えられない。
こんな日差しに溢れた部屋で裸を晒したくない……

誉はありったけの力で衣を掴んでいる。


「遠慮するな……」

『してません!それに、ま、まだ日が高うございます!』


しがみついた衣と一緒に、だんごむしのように丸まっている誉もずるずると引っ張られていく。


「だから?朝も昼も夜も関係ねぇ」

『そんな……っあ!』


誉は小さく声を上げた。

大きな手が衣の隙間から入りこみ、もぞもぞと太股を動いているのを感じる。


誉がぎゅっと目を瞑り、心の中で腹をくくりかけたその時。



カタン、

「あ、主……あのー……」

『!』


誉は心臓が飛び上がる程びっくりした。
襖の奥から架音の声が突然したのだ。


「チッ……何だ」


と同時、夜光が動きを止めて立ち上がる。
誉は助かったと胸を撫で下ろして、思い切り息を吸って吐いた。


「お客が、至急主に会いたいと……」


邪魔が入って、不機嫌そうな彼に架音は申し訳そうな口調で言う。


「こんな朝にか?」

「主が昨夜連れてきた娘……誉だっけ。その子の兄だと……」


誉は目を見開いた。


『炎鬼兄さん……!』


兄が此処に来たのだ。
驚きと戸惑いが渦巻く胸の中で、どこか安心している自分がいる。

(兄さんは出張だったはず……どうしてここに……もしかして)

「結羅から話を聞いて来たか……」


夜光ははっと嘲笑して、はだけた自分の着物を直した後、くるりと誉に振り返った。


「誉、ここに居ろ」

『ですが、兄さんが……来てるのですよね?炎鬼兄さんが……』


炎鬼兄さん。
会いたい。

度々重なる出張で彼が居ない夜なんて何度も過ごしたのに、たった一夜でこんなにも会いたいなんて。


『兄さん……』


誉は夜光をすがるような眼差しで見上げた。



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