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藍城家の日常
第3章 桃のシロップ漬け
ぱらりとたわんだ衣の間から、誉の柔らかそうな肌が覗いた。


「誉……俺はお前の衣を脱がしているのに、お前は何もしないのか」

『……え?』

「されるがままになるのは止めて、少しは考えてみろ……今、お前は何をするべきだと思う?」


突然そんなことを言われて、誉は彼の言葉を頭の中で吟味する。


(私がするべきこと……私が夜光様に脱がされてるなら、私は……)


おずおずと夜光に伸びる手。
それは辿々しく腰紐をほどいた。


(私は、夜光様の衣を脱がす……)

「そうだ……いい子だな」


シュル……っ

まるで海の底に沈んだように静かな部屋に、衣が擦れてパサリと落ちる音がする。

お互いが自分の手で相手の体を暴いて、ふたりの肌は冴えた月の光に照らされた。

白い肌は青白く、ぼうっと明るい。


(……恥ずかしい)

やっぱり、肌を見せるのは慣れない。


『あの……そんなに、見ないでください……』


誉はうつむきながら、蚊の鳴くような声で頼んだ。
自分の体は、決して綺麗だと言えない傷が所々にあるのだ。

それは、まだ私が炎鬼兄さんに出会う前のこと。
過去に受けた痛みは、消えてくれない。

行灯の光よりも、月の光はそれを目立たせる。


「……何故?お前も俺の体を見ているのなら、おあいこだろうが。それに昨夜も見てる、今更だ」

『でも……』

(あなた様は、美しい……)


直視できないほど、美しい裸体。

固く引き締まった筋肉や、浮き出た鎖骨に差す影は彼が少し動く度に、形を変える。

見ている自分が、何だか恥ずかしくなってくる。


『夜光様のように、美しい方と肌を重ねるなんて、今更ながら、後ろめたい気持ちがして』


へらりと自嘲する誉に、夜光は心底呆れているような顔で溜め息をついた。


「余計なことを考えるな……関係ねぇんだよ、そういうのは。俺は抱きたいと思った女を……お前を抱く、それだけだ」

『……夜光様らしいですね』

(身分も何も関係ないと言い切る、あなた様らしい)


誉はゆっくりと顔を上げて、屈託のない笑みを見せた。
彼の指が誉の髪を後ろ側へかく。


「……まぁ、安心しろ。これからそういう無駄なことは、一切考えられなくなる……」


……ちゅ、

夜光はうなじまで露になった誉の首筋に、唇を落とした。



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