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藍城家の日常
第3章 桃のシロップ漬け
「足を伸ばせ」

『はい……』


誉が素直に従って足を伸ばすと、夜光は太股から、足の指にかけて蜜を落とす。

そうして、同じように馴染ませた。


『はぁ……っ』


仰向けになっている誉の体は、月の光にさらされながら、隠微な光を放つようになる。


(あ、れ……?)


何か、おかしい。


「気分はどうだ……誉」


夜光は横たわる誉を見下ろして、くつくつと笑っている。

何故?彼はどうしてそんなに、楽しそうに笑うのかーーー


『これ……変……な感じ、が』


初めは冷たいとしか思わなかったその液体は、肌に馴染んで体温で温められたのか、じわじわ温かい。


(……違う、)


じんじん、熱い。
熱が肌に浸透していくような……

それに、さっきまでほのかに甘い香りを漂わせていたはずなのに、

桃のような芳しい香りが、むわっと強くなっていて、鼻腔を通じて、脳に染み込んでくる……


『ひ、ぁ……、っ……』


体がおかしい。
トクトクトク、と鼓動が早くなって、頬がかぁっと焼けるように熱くなる。


(これは、何……!?)


「……そろそろ効いてきたか。忘れていないな、誉?俺は心も体も、俺なしでは生きていけない体にしてやると言った。今夜はその体の方から始めようか……」


夜光は妖艶な笑みを浮かべた。


ツ……っ


『ぁあっ!』


誉のお腹に夜光の手が触れた瞬間、誉はビクリと体をのけ反らせた。


「良い反応だ」

『ぁっ、や、いやっ……やめてぇ……さわら、ないで……くださ、い……』

(触れただけで、こんな……っ)


電流が走ったみたいな快感が、体を突き抜けるなんて。


「……それは無理」


夜光は誉のふっくらとした乳房を包み込むように両手で覆い、指と指の間に腫れた蕾を挟んで、ぐにぐにと弄ぶ。


『ひっ!?ぁ、あぁっ……ん、やぁああ……』


蜜で滑る手に、どうしようもなく感じてしまう。

誉は小刻みに体を跳ね上がらせながら、もじもじと、自分の足と足を擦り付けていた。

体が変だ。
甘い波が内側からじくじくと蝕んで、体の奥がむずむずと痒い。



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