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藍城家の日常
第3章 桃のシロップ漬け
分からないことが次々と起こって、付いていくのが精一杯だ。

だけど何より、自分の体が喜んでいることを、誉は気付いていた。

次は何が起きるのか、
舌は何処へ向かって、どう動くのか……


『っ……』


誉は漠然とした不安と期待を抱いて、ぎゅっと目を瞑った。


「誉、お前が求めていた‘キモチイイ’は何と言うか知っているか……」

『分かり、ません』

「‘イく’ということだ……」


イク、と誉が頭の中でその言葉を繰り返した刹那に、夜光の舌はべろりと花びらをなぞり、指は誉の肉芽に触れた。


『んんんっ!あ……っ、ふ、ぁ……』


舌が触れた所からざらざらとした感触を感じる。
夜光の指が肉芽の頭に被る皮を持ち上げると、ぷっくりとした丸い核が姿を現した。

赤く腫れている。

彼はそれに……


ちゅ……

『ひぅっ!?』


唇を落とした。


『あぁあああ……やこうさまぁあ……っ』


体中を、ビリビリと電撃が走って、麻痺する。

包み込むようにその突起を口に含む、また、舌先でクリクリと転がす、時折、唇ではむ。

まるで、今朝の口付けのように……


『ふっ、んぁあ、ゃぁああ……っ』


気持ちよすぎる。
頭がどうにかなってしまう。
こんなのすぐに、真っ白になってしまう!


「……お前が望んでいた瞬間が来たら、きちんと口に出して言え……‘イく’と」


低くて甘い夜光の声が、ふやけた誉の頭に染み込んでいく。

彼の言うことに、従わなくては……

‘イく’と言わなくては……


ちゅぅぅ

『ぁぁっ、だめっ!』


肉芽を飴玉のように舌で転がされながら、吸われたら、もう、もうおかしくなってしまうーーー

誉の腰が浮き立つ。
ざわざわと誉の中心に集まった何かが、弾ける寸前まで追い立てられる。


『イ、くっ!ゃ、こさま……っ!』


あぁ、もう、真っ白になるーーー


『ふぁああああああっ!』


誉の頭の中は、空っぽになった。


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