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藍城家の日常
第4章 手取り足取り腰取り
「え、えぇー?」


裏返った声を張り上げる誉。
そんな彼女に驚く架音から逃げるようにして、


『ちょちょ、ちょっと今日は無理かも、なんて……あの、他に掃除しなければいけないところもありますし。あああ後は私がやっておきますから、架音様はもうお休みくださいね!』


そう早口でまくしたてた本人は、そそくさと廊下を小走り(時折こけそうに)しながら姿を消した。

ーーー

上手い言い訳を考えられずに、咄嗟に自分の部屋へ逃げてしまった誉は、小さく息を荒げていた。


(絶対おかしいと思われている……)


上がった息を整えると、誉は恐る恐る、着物の裾をあげた。

丈合わせのための浴衣の試着?


(そんなこと、できるわけがない……)


見下ろした視線の先は自身の下腹部。
白い肌の上に覆いかぶさった存在感のある銀が、何だかとっても卑猥に見えて仕方がない。

この一週間ずっと貞操帯をつけられたまま……
それに加えて……


『はぁ……』


ーーー顔、赤いけど大丈夫?熱でもあるんじゃないの?

架音の言葉を思い出して、誉はピタッと、自分の頬に手を当てた。

しっとりと汗ばんでいる。
体が熱くて火照っているのは、本当は初夏の気温のせいなんかじゃない。





私は常に、夜光様の手によって高められ続けている。


例えばお風呂。
当然鍵は彼が持っているのだし、貞操帯を外せる時間はこの時しかないのだから、監視のこともあって、どうしても一緒に入る流れになる。

夜光様は再び私が貞操帯を取り付ける前に、その魅惑的な指先や舌で弄ぶ。
そうして達しそうになったギリギリの瞬間に、カチャリと。

封じ込む。


例えば寝る前。
籠の部屋に連れていかれる時点でもう、私は期待してしまうのに、彼は抱いてくれない。

貞操帯を外さぬまま、その魅惑的な指先や舌で弄ぶ。
ささやかな私の乳房を包み込んで、撫でては蕾を擦る、こねる、甘く噛む。

胸だけを弄られて、徐々に徐々にと高められて、もどかしさでいっぱいになったその瞬間にカチャリと。

封じ込む。


してくれないのだ。

……口付けさえも。

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