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藍城家の日常
第4章 手取り足取り腰取り
あの方は、なんて意地悪でいらっしゃるのだろう。
本当に酷い、悪質だと恨めしく思う時もあるけれど、これは“お仕置き”なのだから、仕方がないのだ。

あの瞳に逆らうことなんてできない。

それにしても、自慰をすること(この言葉はこっそり辞書で調べた)がこんなにも辛い罰を受ける、とんでもない罪だったなんて……

心の底から反省する今日この頃。
誉はあの時の自分を責めて、二度としないと、そう心に留めた。


『……』


だけどまだ耐えられる。

耐えられるけれど、これは、いったいいつまで続くのだろう……

ひょっとして、私が耐えられなくなるまで、夜光様は続けるおつもりなのだろうか。
だとしたら、私はどうなってしまうのだろう……


ーーーーー


夕方になって突然夜光に呼ばれた誉は、盆にお茶を乗せて彼の書斎を訪れた。
彼は今の誉に置かれている状況なんて知らんぷりである。


カチャ……

『……』


机に湯呑を置いた彼女は、黙々と仕事を続ける夜光をじーっと見つめる。
お仕置きを受けている分際で、“貞操帯を外してほしい”なんてことは言えないけれど、やっぱり何か言いたそうな目で訴えてくる。


「……誉」


その視線に気づいている夜光は、動かしていた手を止めて、筆を机に置いた。


『……はい』

「いつまでもそんな目で見てくるな……今日は良いことを教えてやる」


夜光は自分の髪を片手で緩く束ねて背に持っていった後、彼女に向かって座ったまま椅子を机から少し離す。


『良いこと、とは、何ですか?』

「……ここに座れ。正座だ」


人差し指が指すのは彼が座っている椅子の前だ。何が何だか分からずに、誉はそれに従った。


ギュウ……

『っ』


実を言うと、今は正座をするのが辛い。
貞操帯の固い鉄が下肢に食い込んだり、秘部を覆っている部分が押しあがって圧迫するからだ。


『夜光様?』


誉はわずかに顔をしかめて、彼を見た。

窓の戸から差し込んでいる夕日の日差しが思ったより眩しくて、見上げても彼の表情はよく分からない。


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