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藍城家の日常
第4章 手取り足取り腰取り
『っ!?』


誉は目を大きく見開く。


(嘘、嘘、嘘……!?どうしてこんな時に……っ!?)


あの軽快な足音は徐々にこちらに近付いてきて、ピタリと止んだ。

架音は机の前まで来ているのだ!

彼女が立っているその机の壁を隔てて私が居る……
夜光様の猛りを慰めている……


「……別に構わん。何の用だ」

「あのさぁ……これはあたしの思い違いかもしれないんだけど……」


まるで、机の下にいる誉が居ないかのように、夜光は悠然と架音に耳を傾けている。


『、……っ』


音を立てたらバレる。
嗚咽を漏らしたらバレる。

誉は口に肉棒を突っ込まれたまま、嗚咽や込み上げる吐き気を必死に我慢した。

どうか早く、会話が終わって……!
どうかどうか!



「誉、最近変じゃない?」

『!』

「あいつの様子が変と……?どうおかしい」


少しも身動きできない誉は目をさらに丸くした。
自分のことを持ち出されて、嫌な汗がさらに吹き出す。

もしかして、貞操帯に気付かれているーーー?


「んー……熱っぽいみたいなんだよね。本人は風邪じゃないって言ってるんだけど、ボウッとしてる時も多いし、なんかひっかかるんだよなぁ……」


話の内容と今の状況、二つのことにドクドクと耳元で鼓動が暴れている。

苦痛に耐えながら誉が耳をそばだてている途中、
ムク、と口の中のモノが膨らんだ。


(え……?)


その刹那ーーー


「……気のせいだろ……心配なら、少し休ませておけ……っ」


ビュルルッ!
肉棒が大きく脈打ち先が震えた、と同時に


『~っ!!』


喉奥に熱が勢いよく放たれた。


彼の両手に固定された頭の行き場は何処にもなく、ただそれを受け入れるばかり。
まるで自分の口の中が、性器になったかのようだ。


「……?今何か音しなかった?」

「さぁな……」


あぁ……

喉奥に粘液が溜まっていく。
口の中に初めて知る味が広がっていく。
嗅いだこともない匂いが鼻を抜ける。

そこだけに集まっていく神経……
誉は架音の存在を忘れてしまいそうになるほど、意識を奪われていた。


「そう言えば誉は何処に行ったんだろ……どっかで倒れてなきゃ良いけど……主も少し気に止めといてよ」

「……ああ」


架音はやがて、夜光に仕事の邪魔をしたとお詫びをもう一度言って、書斎を後にした。


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