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§ 龍王の巫女姫 §
第8章 託宣( タクセン ) ── 若王の秘密
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「わたしをどうする気ですか……」
「怯えなくてよろしい。私は貴女に何の敵意もありませんからね。あるとすれば…あの、青二才」
青二才とは、炎嗣のことだ。
この男は王に遣える家臣でありながら、炎嗣に敵意を抱くひとりだった。
「──…御存知ですか?王など只のお飾りでいれば良いものの、あの青二才めが内政に口を出すものだから…、我々が多大な迷惑をこうむっているという事を」
前帝の時代、王の関心は蝗害や戦争に集中していたために、細かい内政は家臣まかせだった。
それを理由に、多くの家臣や役人達は
民をエサに自身の私腹を肥やし、甘い汁を吸っていたのだとか。
…けれどその現状を幼い頃より熟知していたのが
平民出身の炎嗣なのだ。
彼は役人の統制を厳しくし、不当なやり取りや取り立てが行われぬように監視の目を光らせた。
民はそれも彼の功績として称えるが、良く思わない臣下が当然のごとくいたのだ。
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