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§ 龍王の巫女姫 §
第8章 託宣( タクセン ) ── 若王の秘密
「預言などくだらない…!卑しい身分の小僧でありながら調子にのっておるわ」
炎嗣を敵対視する者達は、これまで、幾度となく王の暗殺を計画したという。
…しかしそれらの暗殺計画はことごとく失敗した。
「何故か…理由はわからぬ。刺客を送っても返り討ちに。毒を盛っても一目で見抜いてしまうのだ」
それが続いたことで、今では無謀な企みをする者はいなくなった。
…この男も既に、炎嗣の暗殺を諦めていた。
「なら…どうしてわたしを拐ったの」
「これ以上あの男の思惑通りに事が進むのは、好ましくありませんからねぇ」
憎々しげに炎嗣への恨み言を話していたかと思えば
男は醜く顔を歪ませて水鈴を覗き見た。
「二人目の龍の子は、あやつの手に渡しませぬ」
「…っ…やっぱり…殺すの?」
「まさか…私はそのような野蛮な男ではありませんよ。このまま、貴女を私のものにしてさしあげましょう」
「…そん、な──!」
頬に触れていたぼってりとした指が、顎の線を下りて首筋を撫でてきた。
水鈴は首を振って抵抗する。