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§ 龍王の巫女姫 §
第9章 龍は孤独を歩む
“ 今──なんて言ったの? ”
誰かが部屋に入ってきた…
それがわかっても、目隠しをされた水鈴には何も見えないし、手足を繋がれているから動くこともできない。
「散策中に、たまたまお前の私邸に迷いこんだとでも言っておこうか」
「…あ、あの ですね陛下。これには訳が…!!」
「訳、だと…?」
軽く炎嗣が鼻で笑うと
部屋の外に控えていた数人の衛兵がなだれ込み、素早く男を取り囲んだ。
「この俺がわざわざ耳を貸す筈もない…」
「どうか訳を…!」
「言い逃れは、尋問官に好きなだけ言え」
引っ捕らえられる男を横目に見る。
「陛下!御許しを!」
「…どうせ叩けばいくらでも埃がでる男だ。容赦するなよ」
「──御意」
暴れる男は、肉のだぶついた首を振り乱し、部屋から呆気なく引きずり出された。