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§ 龍王の巫女姫 §
第9章 龍は孤独を歩む
沓音( クツオト )が近づく。
それは──寝台のすぐ横で止まった。
危機が去りほっとしたのも束の間
新たな緊張が彼女を襲う。
水鈴は彼が何か言葉を言うのを待った。
しかし…
「……?」
「…なんだ…お前、そのまま此処に繋がれ続けるつもりか?」
「…え?」
「俺に何か望むのならその口で伝えろ」
かえってこの状況を面白がっているらしい炎嗣は、すぐには彼女を助けようとしない。
「正しい言葉で、俺に頼んでみせろ……」
「……ぁっ」
彼女の目を覆う布を掴み、それをほどいた炎嗣。
目隠しを取り去られて現れた視界の中に、自分を見下ろす炎嗣の笑みがあった。