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§ 龍王の巫女姫 §
第9章 龍は孤独を歩む
「王宮とは…そういう場所だ」
「……っ」
振り向いた炎嗣。
「肝に命じておけ…、あの場所では、誰であろうと信用には値しない」
「そんな…」
「裏切りと死が、隣り合わせだ」
「……!それなら」
水鈴は、はっと顔を上げた。
鋭い漆黒の瞳と視線が合わさる。
「──…それならあなたは、今までどうやって生きてきたの…!?」
すべての臣下と民を率いる、国の王が
誰ひとりとして信用しない…。
それでどうやって、生きていけるというのか。
「王宮で生き残る方法はな、無能か、非情か」
「……」
「──どちらかしかない」
無能であることを拒んだ俺は、非情になることを選んだ。
…炎嗣はそう言って、水鈴の横に腰を下ろした。