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§ 龍王の巫女姫 §
第9章 龍は孤独を歩む
「つまり、孤児院という皮を被った…実際は、身寄りのない子供をかき集め人買いに売り渡す、そういう場所であったということだ」
「…ッ…人買い…って?」
「奴隷として、人間を商品にする者達だ」
「そんな…恐ろしい…!!」
幼き彼が体験した出来事に、背筋が寒くなる。
「──…その日から、周りの世界は一変した」
「……」
「何処もかしこも黒い影が蠢いている…。特別…王宮ともなれば、…ク、笑うほどに溢れているぞ。欲や妬み、敵意がな……」
「それが…あなたが授けられた力なの?」
笑う炎嗣の横顔が、どこか切ない。
その力は──あなたを幸せにするのだろうか。
水鈴はただ率直に、疑問に思った。