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§ 龍王の巫女姫 §
第9章 龍は孤独を歩む
度重なる毒殺の危機から、炎嗣を救ってきたのはその力に他ならないが…。
「──…わたしも龍の子だとしたら、わたしにも同じ物が見えるようになるの?」
「…さぁな。同じ力を宿しているとは限らない」
炎嗣の視線は、水鈴の瞳に注がれていた。
真っ直ぐで…
濁りがない、透き通った紫紺
「……それにお前には無理だな」
これは無知故の清らかさか。
だから、これほどに──。
「──…ッ?」
「愛される事しか知らずに育ったお前は、その様な感情とは無縁なようだ」
彼の片腕が伸びて水鈴を引き寄せた。
そのまま強く抱き締めた炎嗣が、目を閉じて溜め息をつく。