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§ 龍王の巫女姫 §
第9章 龍は孤独を歩む
そして炎嗣は彼女を抱き抱えた。
「…あッ」
「これ以上、長居は無用だ」
こんな風に軽々と抱えて歩かれてしまうと…嫌でもこの男の逞しさと、自分の女人としての弱さを突き付けられる。
抵抗したって、おろしてもらえる筈がない。
“ それでもいつか、わたしは復讐を果たさなくてはならない… ”
そうしないと、今、生きている意味がない──。
.......
二人が部屋を出ると、控えていた少数の侍衛が王に頭を下げた。
「兵達は先に帰ったか」
「はい、残っておられるのは陛下と貴妃どのだけです」
「…さてどうするか。このまま宮中に戻っても良いのだが 生憎、この姫は俺から賜った巫女服を失くしたようだ」
「……っ」
内衣姿の水鈴を見遣り、わざとらしく炎嗣は言う。
「罰として、裸で都を歩かせてもいいのだが」
「…ぇ…!? それは…嫌です…っ」
「──…慈悲をかけてやる」
炎嗣は侍衛のひとりに、近くの呉服屋に行き水鈴用に襦裙( ジュクン )をひとつ持ってくるように命じた。