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§ 龍王の巫女姫 §
第12章 紅い灯籠に花を広げ…
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春節祭は一日では終わらない。その後も六日間続くのだ。
三日後の夜になり──
皇帝が臣下を呼んでもてなすという慣例行事が行われていた。
酒宴の席には山海珍味と踊り子が揃えられ、列席した臣下や妃嬪たちを楽しませていた。
ほどよく酒の回った朝廷の面々も、いつもは炎嗣の機嫌を盗み見て固まっているその顔をほころばせ、互いに談笑している。
──…しかしそこに、水鈴の姿はなかった。
彼女の存在はまだ公にされているわけではない。
詳しい者にはとっくに知れ渡っている事だとしても、このような正式な宴で席が用意されるのはまだ先であった。
.....
「……ねぇ」
「何で御座いますか?」
「向こうは賑やかで楽しそうよ、あなたも行ってみたらどうかしら」
傍らに立つ侍女に声をかけた水鈴。
築山( ツキヤマ )と池に臨む六角形の四阿( アズマヤ )で、侍女を気遣う彼女は宴の席に行くように提案した。
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