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§ 龍王の巫女姫 §
第12章 紅い灯籠に花を広げ…
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「……ふ、ンン……、ン─…っ」
「……ク、何だよ」
そのまま舌で彼女の口内をまさぐった後、炎嗣は唇を離した。
「今日はやけに素直だな。抵抗しないのか…」
「…ハァ、…ハァ」
「まさか俺に怪我を負わせたことで引け目を感じているのか?」
「……っ」
それもある。けれどそれだけが理由ではない。
目の前には龍袍に身を包んだ男の広い胸がある。
自分はこの胸にすがって泣きじゃくったのだ…。
「──…心配するな、あの暴走馬は捕まえてある。きちんと殺して今晩の宴に馬肉となって振る舞われているぞ」
「え!? そんなの可哀想……!!」
「冗談だ、そんな面倒な真似をするかよ…」
「…なんだ…よかった」
意地の悪い冗談だ。
咄嗟に反応した水鈴が顔を上げると、ニヤリと笑った炎嗣の瞳が灯籠の火を映しこんだ。
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