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§ 龍王の巫女姫 §
第13章 都を離らば
最後に水を口にしてから丸五日。
砂に足を取られながら、ふらつく男は体力の限界に近付いていた。
日中の照りつけは姿を消して、冷たい空気が襲う夜だ。
氷点下の世界は益々彼を追い詰めていった──。
《 初めからこうすれば良かった 》
此処が、此処こそが
自分を歓迎する唯一の場所だったに違いない。
もっと早くに来るべきだった。
今と同じ様に国中を巡った…数年前にでも
もっと昔…ほんの幼子であった時にでも
いつでも良かったのだ。
こんな場所があると知っていたなら、ずっと早くに来ていたのに。
「……ッ」
無限の砂地よ
全てを呑み込め
怒りも、孤独も、哀しみも…
そしてこの命を、呑み込むがいい