この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
§ 龍王の巫女姫 §
第13章 都を離らば
老人に急かされながら、倒れた男はなけなしの力でなんとか立ち上がる。
その後──
二人は砂丘を歩き続け、そして何の変てつもなかった光景に懐かしき緑が現れた。
其処はオアシス。
こくこくと水の涌き出る泉と、それを囲う僅かな草木。
老人の家はそこにあった。
老人は彼に水を与え、毛皮の上に座らせて飯も渡した。
「食べなさい」
火をおこし薪をくべる。
老人は目の前の青年の身体に刻まれた無数の生傷に気が付いたが、それについては何も言わない。
「何処から来たのか。お前さん」
「……」
「…言いたくないか。では何処へ行く気なのだ」
礼を言ったきり無言になった男に、老人は質問を変えると厳しい口調で問いただした。