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§ 龍王の巫女姫 §
第13章 都を離らば
王宮を出発してから二日が経過している。
移動中、道中の街や村で何度も休憩を挟んだ。炎嗣いわく視察も兼ねているらしい。
そのようにゆっくりとした一行であるが、それでも水鈴には負担がかかった。
輿の揺れはほとんど無い。
しかし、この狭い空間に一定時間閉じ込められるのが耐えられない。
「間もなく到着するだろう、我慢しろ」
「はい…」
先ほど立ち寄った村で馬と戯れていた彼女だが、その時のまぶしい笑顔はなりを潜めてしまった。
前に座る炎嗣から見ても、顔色が悪い。
「空を舞う白鷺( シラサギ)は、籠に閉じこめた途端に生気を失うのだな。学習した」
「…だから…っ もう少しで慣れる筈です…」
「慣れる前に目的地だ」
「……っ」
言い返せない
「俺を睨むなよ、外を見た方がいい」
「…ん…」
炎嗣の言うことに従い、水鈴は身体の向きを変えると物見窓から顔を出した。