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§ 龍王の巫女姫 §
第17章 氷の中の乙女
「そろそろ昼餉( ヒルゲ)を用意しようと思うのですがいかがですか?」
「ああ、なら俺が水鈴を連れてこよう」
「はいはい、お任せ、致しますよ陛下…」
それほど遠くには行っていない筈ですと告げられ、炎嗣は散策中の彼女を探しに出た。
───
…とはいっても
「何処まで行ったんだ…」
当てもなく見つけ出すには、離宮を囲む桃の森は広すぎる。
葉のない木々の間を歩きながら、侍衛にやらせればよかったと早くも後悔し始めた。
歩いても歩いても周りの景色は変わらない。
森に囲まれて育ってきた水鈴のこと、道に迷ってはいないだろうが…
不意にきた胸騒ぎに
炎嗣は不安になっていた。