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§ 龍王の巫女姫 §
第17章 氷の中の乙女
上り坂を暫く進むと、ひらけた場所が現れた。
「あれは…?」
すると彼の眼下には梅の木々が広がっている──。
白い花、品のよい香り…
炎嗣にとって懐かしい景色だった。
“ そうか、すっかり忘れていたな。桃源郷と言えば桃の花ばかり謳われるが…”
見事な白梅だ。
手入れもされず広々と生い茂っている。
──何故だろう
水鈴はあの場所にいるという勘が働いたから、炎嗣はそこを目指して丘を下った。
「──!」
ちょうど丘の半分ほどを下った時
前方に突如として現れたのは一頭の子馬だ。