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§ 龍王の巫女姫 §
第17章 氷の中の乙女
「馬鹿が…」
「……っ」
「それを俺が許すと思うのか?」
片膝をついて彼は座った。
「俺はお前に生きるように命じた。──…お前はそれに従え。余計なことは考えるな」
「それはわたしが預言の人間だからですか…?」
「…なんだと?」
「わたしが預言の人間だから、あなたはそうやってわたしを生かそうとするのでしょう?」
炎嗣の側にいても、これといって役にたつわけでもない自分は、《龍の子》だと告げられたところで…彼のように特別な力を使えるわけでもない。
なら、いてもいなくても同じではないか
何故、炎嗣は自分にこだわるのか。
“ 勘違いをしてしまうから、ほうっておいて ”
「わたしは何の役にもたてないわ…っ」
「水鈴…」
「…だから、帰っ て」
水鈴は、自身の銀色の髪のひと房を手に取ると、ぎゅっと握りしめた。