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§ 龍王の巫女姫 §
第17章 氷の中の乙女
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寝台の上
横たわる水鈴から、寝息が途切れた。
「──…」
「……、…水鈴」
恐る恐る水鈴は瞼を上げた。
ここは、彼女が二度と戻りたくなかった世界だ。
「炎嗣…さま」
そんな残酷な世界には、何故か彼がいる。
“ 本当に…紅( クレナイ )のお召し物が似合っているわ”
はっきりとしない頭でそんなことを考える。
ふと、彼の右手が自分の左手を握っているのに気が付いた。氷を溶かし、自分を引き戻した手だ。
「大きい…」
「…─ったく」
呑気な彼女に、炎嗣が舌打つ。