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§ 龍王の巫女姫 §
第18章 貴方に届けたい
先に入った炎嗣に続いて輿( コシ )に乗り込む。
「……ぅ」
中に入ったところで、自分はこの空間が苦手であるという事実を水鈴は思い出した。
「…俺と二人きりになったそばから溜め息とは…なめているな」
「ち、がいます…っ、この乗り物が苦手なだけ…」
「──言い逃れだな。まだ動いてもいないのに、つまらない嘘はやめろ」
「嘘なんかじゃあ…っ」
ガタン
水鈴が完全に乗り込んだのを確認して、侍衛が扉を下ろした。
「この狭さが、どうしても駄目なんです」
本当のことだ。
信じてもらえない水鈴は、また小さく息を吐いて目を閉じると、炎嗣の向かいに大人しく座った。