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§ 龍王の巫女姫 §
第18章 貴方に届けたい
炎嗣は集落をさっさと出ると、迷うことなく森へと踏み込む。
付いてこようとした衛兵を追い払い
うねる野道を進んでいく。
「…炎嗣様…!? 少し危なくありませんか?」
水鈴は後ろを歩きながら声をあげた。
少しどころではない。
知らない森に踏み込むのはかなり危ない。
そこがどんな場所か…どんな動物がいるのか わからないのに。
「この森は安全だ。…お前がよく知っている」
「わたし…?」
炎嗣は不思議なことを言う。
意味もわからず取り敢えず、はぐれないように歩いた。
途中で道がなくなった。
それでも炎嗣は歩みを止めない…。
それほど複雑な森でもないから、迷うことはないだろうけれど…。
「…あ? あれって」
その時 水鈴は、木と木の隙間から、夕日を反射して煌めく何かを見つけた。