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§ 龍王の巫女姫 §
第18章 貴方に届けたい
「そのまま転がしておく筈がないだろう」
「なら何処に?」
「…此方だ」
炎嗣は村を南の方向に横切った。
もともと牛小屋のあった場所の近く
村と森の境界線に土が盛ってある。
…お墓。
「…炎嗣様が供養して下さったの?」
水鈴は彼の衣から手を離して前に出た。
「死んだ村人を埋めるように命じたのは俺だ」
「そうだったのね…」
そっと地に膝をつけて、手を合わせた。
「感謝します」
炎嗣に礼を言ってから水鈴は祈りを捧げる。
“ 戻ってきました…村のみんな ”
わたしはもう、巫女と名乗れるような人間ではないけれど、手を合わせることをお許しください。