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§ 龍王の巫女姫 §
第19章 神への捧げ物
「…ン、‥ハァ…炎嗣様‥」
「…っ…このまま続ければ──」
「…ッ」
「朝の刻まで戻れそうにないな」
吐き捨てるように呟いた炎嗣。
「…! そう ですね」
水鈴はとっさに俯いて、我に返ったように二人の間に手を差し入れた。
彼が李国の王であり、この後王宮に戻らなければいけないことを忘れてしまっていたなんて…
ばれるわけにいかない。
「早く帰りましょうか。衛兵のみなさんも、きっと心配してる…っ」
「あいつ等はそれが仕事だ、気にするな。それよりお前はもういいのか?次にいつ連れてきてやれるかわからないぞ」
「わたしは…もう」
軒下にかけていた腰を跳ねあげ、地に足をつけた水鈴は座る炎嗣に振り返った。
そう…炎嗣様は、わたしのためにこの村を訪れて下さったのだ。
きちんとお礼、言いたい。