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§ 龍王の巫女姫 §
第19章 神への捧げ物
「なんですか?」
急ごうと思っていたのに出鼻をくじかれた水鈴は戸惑っていた。
炎嗣は静かな声で話し始める。
「俺は心の広い男ではない…」
「──…」
「これから王宮に帰る、その時は……お前に自由をくれてやるつもりはない。どんなに抗えど今まで通りだ。…お前を俺のものにする」
そこまで言った炎嗣は手の力をゆるめた。
「理解したか?」
「……薬草、採って きますね」
自然と彼女の手首は滑り抜け、水鈴は今度こそ森にその姿を消した──。