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§ 龍王の巫女姫 §
第19章 神への捧げ物
「──村長!」
「久しいな…水鈴」
そこに立っていたのは、痩せ型の初老の男。
まぎれもない峭椋村の村長である。
「本当…に?」
どうして彼が目の前にいるのかわからないが、それでも水鈴は再会を喜んだ。
「…本当に…!? 村長…っ、生きていたなんて…!」
村の生き残りはいないと聞かされていたから、例外なく彼も殺されていると思っていたのだ。
水鈴は手で口元を覆い村長の生存に涙を流す。
「良かった…っ」
「わたしも嬉しく思うぞ、水鈴──。こうしてお前が村を訪ねてくるとは予想外だった。お陰で互いに顔を合わせることができたな」
厳しめの固い表情は相変わらず。
そんな顔をしながらも、男は再会の喜びを水鈴に伝えた。