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§ 龍王の巫女姫 §
第19章 神への捧げ物
「私のことなど、どうでもよい」
「え…?」
「お前はいったい…何処にいたのだ、水鈴」
懐かしさと親しみをこめて近付いた彼女だったが、それを受け止める男の声は厳しさを含んだ。
怒られる…?
今までの経験からそれを直感し、水鈴は俯いて小さくなる。
「…心配をかけてごめんなさい。わたしはあれから炎嗣様…ッ 、李王の、もとに」
「……ふん、その下卑た服装を見ればわかるが」
「あの…!?」
再会を喜んでいた筈なのに、この突き放した冷たさは何だろう。
確かに、質素倹約をかかげる峭椋村では、こんな服は絶対に着ない。
彼女が身に付けている襦裙( ジュクン )は決して派手ではないけれど、村の普段着と比べれば十分に贅沢なのだ。