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§ 龍王の巫女姫 §
第3章 永久( トワ )の別れ唄

これだけの打ち身…寝台に横になるのも痛かった筈だ。

いったい誰がこんな仕打ちを……!!

「どうしてこんな事に…!?」

痣になった箇所に湿布を張りながら問い掛ける。


「教えてください花仙!」

「──…都の人間に」

「……!!」


水鈴は驚愕した。


皆が口を揃えて恐ろしいと警告してくる都。

実際に其処を見たときは、とくに野蛮とも感じない楽しそうな人々がいる場所だと思ったけれど…。


やはり村長たちの言葉は正しかったのだろうか?


花仙の傷痕を見せつけられればそう認めざるを得ない。



座る彼の前に回り込み、肩の痣に指で触れた。



「……っ」

「あ、ごめんなさい痛かった?」


傷の具合を確かめていると、僅かに怯えたように肩をすくめた花仙。


「…いえ…ただその様にじっくりと」

「…?」

「あまり近くで見られるのも、気恥ずかしく」

「──あッ//…ごめんなさい!」


今度は水鈴の方が怯えたようにびくついた。


確かに顔を近付けすぎた。彼の身体に息がかかっていたのかもしれない。





「…///…その…っ」


こうなると困ったものだ。




つい先程までは彼の怪我が心配で、手当てに夢中になっていた。



けれど一度でも意識してしまうと…



「…傷の状態を…たし…かめようと思って…っ」


「…水鈴様」


「…っ…はい?」


「真っ赤な顔で、私の身体をまじまじと見つめるのはお止めください」


「──!‥治療中です!花仙はあちらを向いていてください!」


「…クスッ。…畏まりました」


ますます赤くなる彼女をよそに、花仙は言われた通りに斜め上を見上げた。



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