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§ 龍王の巫女姫 §
第19章 神への捧げ物
「何度言えばわかるのだ!巫女であるお前が人間の欲に振り回されるようでは──ッ」
「わたしは巫女ではないわ!」
「…!?」
“ わたしは巫女じゃない…っ ”
わたしはただの女だ。
誰かを愛したいし、誰かに愛されないと生きていけない。それは決して汚ない感情ではない筈だ。
「わたしの人生は神様のためにあるのではありません…!!」
今までなら村長に言い伏せられて、自分の思いを押し殺していただろう。
でもこれだけは伝えたい──
大切な人が、教えてくれたことだから。
「…水鈴、変わったな」
「……はい」
初めて彼女が自分に逆らった。
男は驚きのあまり溜め息をつき、逆上していた自身を落ち着かせ静かになる。