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§ 龍王の巫女姫 §
第19章 神への捧げ物
「その様子…よほど水鈴にご執心なようだな。李国の王ともあろう男が」
男は担いでいた水鈴を足元に下ろした。
「──…まぁよい。龍の子が二人ともそろったわけだ…。貴様も一緒に神へ捧げてくれよう」
「なんだと…?」
「こうなれば手も足も出まいな、…さぁ」
下ろした水鈴の手を掴んで引っ張りあげると、彼女の首筋に鋭利な小刀を突き付けた。
「──っ」
「動くでない」
咄嗟に御堂から飛び降りて駆け寄ろうとした炎嗣を、男が牽制する。
「…ッ…さっさと要求を言え…!!」
「そうだな、先ずは…腰の刀を捨てるがいい」
水鈴を人質にとった男は余裕の態度。
こうなってしまえば…国の王とて弱いものだ。
柄( ツカ )に手をかけたまま動かなかった炎嗣は
表情は変えないままで、暫くの間止まっていた。