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§ 龍王の巫女姫 §
第19章 神への捧げ物

それをいち早く察知した男は、顔に張り付けていた薄ら笑いをしまった。

「裸踊りはやめだ。その代わり…」

男の目が炎嗣の足元に向く。


「捨てたばかりのところ悪いがお前には、その湾刀を自らに突き立ててもらおうか」


「──…!?」


「そうすれば水鈴を解放してやろう」


「…へぇ?」


この要求はさすがに、あまりにも馬鹿げていて炎嗣も笑うしかない。

どう考えてもその約束が守られる訳がなかった。


「水鈴を解放する?馬鹿が…それを信じてやるような素直な男に見えるのかよ」

「信じるも信じぬも自由だが、要求をのまないなら水鈴の《死》は確実──」

「──…」

「…見捨てるか?」


この問いは、この男のお遊びだ。


要求どおりに炎嗣が自分に手をかけたならば、男にとって都合がいい。

逆に炎嗣が水鈴を見捨てて自分の命を選ぶのも…それはそれで面白い。


「──…お前の自由だぞ、李王よ」


「…ふん」



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