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§ 龍王の巫女姫 §
第19章 神への捧げ物
───…
火花が周りで弾ける音
異様な臭いと、異様な熱さ
「……ン、ハァ…!!」
全身にじっとりと汗をかいた水鈴は、自分が酷く咳き込んでいることに気が付いて目を覚ました。
「…ゴホッ…、ハァ…ハァ」
パチパチ パチパチ
大嫌いな音が溢れている。
この音は嫌いだ。あの夜の事を思い出すから…。
道中に転がった死体と、燃える村
血塗れの花仙を思い出すから。
「……ぅ、ハァ…うう」
はっきりと意識を取り戻した水鈴は、じわり目尻にたまる涙と…込み上げる嗚咽を圧し殺そうとした。
やっぱり、現実は残酷なんだ。
神様はとことん…意地が悪い。