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§ 龍王の巫女姫 §
第19章 神への捧げ物
《お前だけでも逃げろ》
もし彼に意識があったならそう言うのだろうか。
「…ケホッケホッ!…ッ は、ぁ…行かない…!!」
水鈴は涙をのんで叫んだ。
「あなたが一緒じゃなきゃ行かない!」
だから、目を覚まして欲しかった。
一緒に逃げてほしいのに…!!
「っ…お願いです…!!」
目の前の祭壇が黒焦げとなって崩れる。
「…あれほど…わたしに‥ハァ、生きろと言ってくれたでしょう…!?」
こんなに辛い世界でも、わたしに死ぬことを許さなかった。
『 神に復讐しろ──…どれだけ現実が残酷でも、お前を不幸せにはできないと証明するんだ 』
.......
「……っ」
幸せになんて、なれない
「…あなたがいてくれないと…ッ
──…幸せになんてなれません!!」
水鈴は炎嗣に被さった。
まるで迫りくる炎から彼を守るかのように───。