この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
§ 龍王の巫女姫 §
第19章 神への捧げ物
村の人間は水鈴を愛した。
良い捧げ物に成長するよう、いっぱいの愛情をそそいだ。
よけいな虫が付かないように、彼女と同じ年頃の息子や娘等を村から追い出した。
そして水鈴を健やかに…清らかに育てた。
美しく成長してゆく彼女の姿に
村人は皆 喜んでいた。
「…あと一歩のところで…!」
惜しいものだ。
人間の男に心奪われるなど、最も危惧していたことだというのに。
「これ以上は許さん…これ以上は…」
炎を見ながら男がぶつぶつと呟く。
「……さらばだ水鈴」
中から彼女の叫び声が聞こえた気がしたが…
男はただ、満足そうに笑っただけだった
───
その邪悪な笑みを
一瞬の雷光が───照らし出す