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§ 龍王の巫女姫 §
第19章 神への捧げ物
縦に割られた御神木に
巨大な何かが巻き付いていた。
「龍だ…!!」
激しい雨のせいで視界を奪われながらも男は確信する。
「龍の子を迎えにきたのか!見事だ、これぞ神のなせる業だ!」
興奮した様子で両手を広げ、龍神を迎え入れる意を表した。
「龍神よ──…ッ、……」
果たして、其処にいるのは確かに龍なのか
長い胴体
鋭い目
裂けた口
黒光りした鱗状の皮膚──
小さな雷が途切れぬ空を背景に
それは鎌首をもたげ、御神木から人間を見下ろす。
「りゅ…? ‥!?」
「──…愚かしい」
「‥ッッ!」
上に気を取られていると
不意をついて、右手の森の奥から声がした。