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§ 龍王の巫女姫 §
第20章 史書から消えた物語



ジーーー…


「──おわっ!?」


建具の隙間に……


「誰だよお前…!!」


人の顔。


慌てすぎて飛び上がった少年と相対して、向こう側の顔は平静そのものだった。



「気持ち悪いな…そんなとこから覗くな」

「……ああ、ごめん」

見れば、窓から覗くその顔も…まだ大人とは言い難い。

少年から青年に成り立ての、そのくらいの年頃の子供である。

目で威嚇するように睨むと
何を勘違いしたか微笑んできた。



「…笑うなよ…何だよ気持ち悪いな、誰だよ」

「僕は、蒼慶( ソウケイ )」

「…は?」

「君の名前はなんだい?」

「……」

勝手に名乗られて、名を聞かれて…少年は押し黙った。

こいつの名前なんて興味ないし、それにこの馴れ馴れしさが好きじゃない。


それに……



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