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§ 龍王の巫女姫 §
第20章 史書から消えた物語
翌朝のこと
「この中だな?」
部屋の外が騒がしい。
「起きろ!」
「……!?」
起きるもなにも…逃げ道を探して一睡もしていなかった少年の前に、大勢の衛兵が戸を開けてなだれ込んできた。
“ 何だ…? ”
昨日とは彼等の雰囲気が違うことに気付き、少年は後ずさる。
だがすぐに捕まって部屋から引きずり出された。
出されたその場所には、またもや昨日の役人。
右丞相と呼ばれていた…少年にとっては虫が好かない男だ。
「…ちっ、今度は何だよ じじい。用があるんならさっさと言えっての…っ」
「…ッ 言葉の選び方は後で叩き込んでやろう。いいかよく聞け──昨夜、とある貴妃様がお亡くなりになられた」
「──…!」
そこまで聞いた少年は、話の続きを察した。
昨日…
女官が運んでいた御膳が頭に浮かぶ。