この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
§ 龍王の巫女姫 §
第20章 史書から消えた物語
「詳しいことは蒼慶から聞いてくれ、我が息子よ」
「… むすこ…!?」
「陛下…っ それはあまりに急すぎるのでは…!!」
隣の宦官がいよいよ口を挟んだ。
「預言をうのみになさるのですか!? 無学で無作法なこの子供が、畏れ多くもそのような…──」
「──いいのだ、私は直感した」
光丞帝は少年から目を離さなかった。
少年のほうも同様に、真っ直ぐ彼の顔を睨んでその真意を疑っていた。
「そろそろ下がりますね、父上」
もう十分だろうと判断した蒼慶が、跪いて皇帝の手の甲に唇を付ける。
「──…聞いたところによると、お前には名が無いそうだな」
「…っ…ああ」
去り際に光丞帝は二人を呼び止めた。