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§ 龍王の巫女姫 §
第21章 黒髪の兄弟は束の間に
それから炎嗣は、なかば無理やりに蒼慶によって教養なるものを教え込まれた。
来る日も来る日も…勉強は続く。
何度か蒼慶に見つからないよう身を潜めた事もあったが、どういう訳かすぐに見つけられて意味をなさなかった。
悔しいが
武術においても、炎嗣が蒼慶に敵うところない。
玄志暦 百八十二年──
炎嗣が王宮に連れてこられてから、早一年。
この頃になろうとも、臣下や学者への反抗的な態度は直らなかった。
玄志暦 百八十三年──
炎嗣は臣下等の知り得ぬところで読み書きを完璧に習得し、史書や詩経を蒼慶から習っていた。
武術の成長はそれより早く
蒼慶と肩を並べるまでの実力に。
玄志暦 百八十四年──
炎嗣 齢 十五
蒼慶 齢 十七
国情が益々乱れる中
宮中では様々な思惑が交錯していた。
そんな宮中を横目にしながら
炎嗣は着々と、賢慮(ケンリョ )という武器を身に付けていた。