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§ 龍王の巫女姫 §
第3章 永久( トワ )の別れ唄

「だからそうやって自分を卑下しないでください」

「……有り難うございます」

懐かしい出会いを思いだし、花仙は自然と微笑む。


「…村のみんなも、いつかはあなたを理解してくれる…」

「……っ」


水鈴が家がない花仙を村に連れてきた時、彼が歓迎されていない空気であったのは確かだ。

仲良くしてほしいと願った…

けれど、村の人たちが花仙に心をゆるすことはなかった。


それは三年を経た今も変わっていないと感じる。




「──…水鈴様は峭椋村を愛しておられますか?」


「…ええ、。この村の人は皆、欲がなく…優しくしてくれる方ばかりですから。大切に思っています」


「……」


「……でも、わたしは…」



村の人たちの笑顔が頭に浮かぶ。

花仙にこそ冷たいが、互いを支えあい思いあう温かい人ばかりだ。


だからこそ、花仙のことを理解してくれる筈。




「…でもわたしは、花仙の方が大切です」



「……! 水鈴様…」





暮れようとする日は、最後の力をふりしぼって空を薄暗くたもっていた。


しかし…既に東の空には、夜を知らせる月の影がぼんやりとだが迫ってきていた。





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