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§ 龍王の巫女姫 §
第21章 黒髪の兄弟は束の間に
「俺には関係ない」
王座なんて、今までの彼からすれば住んでいる世界が違う。どうしたって受け入れられない。
それに──
「《 龍の子 》が次の王に選ばれるとしたら…それは間違いなくあんただろ」
炎嗣は知っている。
宮廷中の誰もが王の器として蒼慶を認めている。
そんなところに、自分がいったい何を期待されていると言うのか。
何を考えて…光丞帝は自分を皇太子として迎えたのか理解に苦しむ。
「俺は関係ない。…あんな場所にいつまでも閉じ込められてたまるか」
「…関係ない、か」
炎嗣は王宮が嫌いだ。
此処には陰謀と妬みがまんえんし
" 彼だけに見える " 黒い影が日常にはびこる。
一刻も早く出ていきたかった。
「──…わかってないね、炎嗣」
「…?」
「関係ない…君のその一言が、この瞬間に何人の命を終わらしたのか」
「──はぁ?何 言ってやがる…!」