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§ 龍王の巫女姫 §
第22章 蛇の落とし子
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横たわる李王は目を覚ましていて、脆弱な視線がなんとか蒼慶を見上げていた。
そんな彼に
蒼慶が何かを小声で伝える。
「──…では父上、どうかお元気で」
「…っ…待てッ」
そのまま立ち去ろうとした蒼慶を、光丞帝が呼び止めた。
「…何故だ…蒼慶、私はお前も…同じ様に炎嗣のことも、平等に愛している」
「……」
「…私はもう長くないのだ。お前たち二人が力を合わせ、預言の実現を成し遂げてくれる…と、そう願っている…!」
「…龍に頭は二つも要らないのです、父上」
蒼慶が振り向けば
さらさらとした黒髪が肩の上で揺れる。
赤い瞳を閉じ込めた目は
別れを惜しむ悲しさで満ちていた。
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