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§ 龍王の巫女姫 §
第22章 蛇の落とし子
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龍の子等は、神に嫌われた子供たちだ。
彼等は其々にひとつづつ、ある運命を生まれながらに背負わされた。
龍の爪を持つ者に、孤独を
龍の髪を持つ者に、哀しみを
龍の眼を持つ者に、怒りを…
これ等を背負わされた子供の到来が預言された。
《国を救う》という言葉は…ただの一言も出てこない。
三人の子供は生け贄だ。
人間界に溢れ、よもや抱えきれなくなったこの三つの《負の感情》を彼等が一身に抱えることで、なんとか均衡を保つことができる…──
罪にまみれた人間達に、神がかけた最後の情け。
──それを蒼慶は知ってしまった。
「…僕は預言の真実を知ってしまった」
「蒼慶…!」
「ですが安心して下さい、炎嗣はまだ…その事を知りません。あいつならきっと、国を救う力となってくれる。そのための知識は既に僕から教えてありますから」
強情でも我が儘でも
あいつは責任感のある男だ。
そして、宮中の誰よりも
飢えと争いを恨む男だ。
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