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§ 龍王の巫女姫 §
第22章 蛇の落とし子

「炎嗣は必ず、立派な明君となる筈です」
「…待てッ…蒼慶、許してくれ…!!」
淡々と語る蒼慶に対して、動揺を色濃く見せる光丞帝は、震える手で空を掴んだ。
「お前には酷なことをした…っ」
「……」
「私には契機が必要だったのだ。民達へ希望を与えるための、大きなきっかけが必要だった…」
そこで最後の手段として、光丞帝はこの預言を利用した。
どのみち自分に世継ぎは望めない…
せめて、周りを納得させる"徴" を持った王を、自らの手で作り上げるしかないと。
「幸運にも、お前は実に聡明で、立派な大人に育ってくれた。確かに救世主という預言はでたらめだ、だが蒼慶 お前なら…──ッ」
「…僕は、無理です」
「何故だ…!?」
「言った筈です、僕は神によって《怒り》を背負わされた人間だ」
僕は決して、王と為り得ない。
蒼慶は冷静に言い放った。

